都立松沢病院在職中に精神科訪問看護が診療報酬で認可されました。看護管理者として、即、訪問看護部門を設置して職員の配置を行うことにしました。しかし、退院してすぐ再入院をする人が多かった。
退院した人が就労継続支援事業所の作業所に通っているが工賃が安いときいており、「どうしてか」と疑問に思っていたこともあり、鹿児島の実家で育成している黒和和牛の焼肉店を開設して精神障碍者の人の雇用をしました。従業員としての雇用も試みたがお客さんの対応が難しく就労できなくなった人もいた。同時にリーマンショックの影響で閉店せざるを得なくなりました。
精神障害者の人が好きで、退職後は精神障害の人が地域で生き生きと生活できる場を確保したいという夢もありました。
45年間医療に携わってきた経験を生かすために、精神障害者の方を中心とする訪問看護ステーションを設立しました。
障害者の方を訪問すると、就労できなかった氷河期の人(40~50歳)が多く見受けられました。両親は70~80歳代で家に閉じこもりになっている我が子を世話することに疲れ、これから自分もいつまで生き延びていくかと、経済的な不安を抱えている家族も見られました。
昼間だけでも親と子が距離を置くことで親の負担を軽減することが必要であり、障害者の方は社会性が失われないように社会参加に向けて援助が必要でした。
親亡き後も、障害があっても一人で生活できるように育成することが今後の課題であることを痛感し、訪問から就労継続支援事業を行うことにしました。その結果、今まで就労していなかった方が精神障害者の作業所に通うことで病状が安定するようになりました。
精神障害者の方が安心して働けるように、職員を含め、家族、地域の人々と共に、今後も社会貢献できるように精進していきたいと考えています。